クソメンは国境を越える『カリートの道』
数日前に観ていたのですが書く暇がなかったので簡単に。
傑作でした。
デ・パルマ作品で観ているのは『スカーフェイス』くらいで、しかもかなりウトウトしながらの鑑賞であまり記憶に残っておりません。
だからほぼ初めてみたいなものです。
似てるなーと思ったのは『ザ・タウン』かな。その土地に根付く運命になんとか抗おうとするもなかなか難しいという点で。
だらだら寝そべって観ていたのですが、終盤の電車のシーンあたりからは正座で観ていました。「おもしれー」って口に出しそうになるくらいうまく撮れてる。
他に好きなシーンは船での事件のあと港へ帰る途中、パチーノはショーン・ペン?演じる弁護士にすぐにはキレない。帰ってる途中虚空を見つめている。やっぱり俺ってこうなのかな、逃れられないのかな、みたいな顔をしてる。諦観っていうか。表情が素晴らしいですよね。弁護士の行為に対する感情よりも自らの運命に対してのほうが強いんですよね。本当にいい顔する。
みんないろいろ好きなシーンはあると思うのですが、個人的に興味深かったのは弁護士ですかね。どんどん闇社会とずぶずぶになっていって抜け出せなくなる殺人にまで手を染める彼。
なんかイケてないんですよねあいつ。髪型もぼっさぼさだし。ダヴィド・ルイスがあれならかっこいいけど、あいつはなんかダサい。パチーノの女がちょっと他の男と踊ってるのを見てキレたりする。もちろん酔ってるのもあるんだけど。パチーノがいいっつってんだからいいじゃん。自分の女でもないのに。
あれってリア充を僻むクソメンそのものですよね。そういう目線で見るとあいつが闇社会に溺れていく姿もクソメンコンプレックスがきっかけになっての行動に見える。イケてるやつらへのあこがれや嫉妬が彼をああいう道に進めたんじゃないかな。
と考えると問題は根深いですよね。リア充vsオタクのような対立は日本だけの問題に思いがちだけど、アメリカでも、しかも1993年の時点で存在していたのがわかります。ああいう僻み根性の醜さってのは外から見てると嫌だなあってなっちゃうんだけど、いざ自分の身になると僻んじゃうんだよなあ。イケてないからさ。