御先祖様の鼻くそ黙示録

鼻くそのように生きた感想を記す

『機動警察パトレイバー 劇場版』&『機動警察パトレイバー2 the Movie』のイッキミリバイバル上映にいってきた

 土曜日にお台場まで行ってきました。

 あそこは以前もドリパスの『GHOST IN THE SHELL』と『イノセンス』の連続上映で行っていたのですが、今回は前回よりもさらに大きな劇場で驚きました。

 以前、ピカデリーにTNGパトの第一章を見に行ったとき、開場が始まる直前のゲートの前には若いカップルもそこそこたむろっていました。しかしTNGの少し前にアナ雪の開場が始まると、若い衆はすっかり消え果て、見事におっさんばかりが残ったというできごとがありました。

 そういう苦い思い出がありましたのでこの広い開場がおっさんで埋め尽くされるのかと、やれやれと思っていたら、意外に若くて綺麗な女の人も多くいて(決して多くはない)パト人気の根強さを感じました。

 

 私はパトの中でも劇パトの大ファンです。1は2回、2は6回くらい見てるかな。

 特に2にはすごい思い入れがあります。

 

 今回1から見たわけなんですが、1が面白いんですよ。自分が思っていたよりずっと。

 いや面白い記憶はあったんだけど、こんなに面白かったんだ、と。

 んで上映が終わったあとに1についてブログにいろいろ書こうと思っていたのですが、忘れた。すぐ忘れた。

 

 なぜか。

 

 何度も観ているはずのパト2がすごすぎたからだ。2を観た直後に1を思い返そうとしても記憶がぶっ飛んでた。それくらいすごかった。多分7度目くらいだが今回が一番おもしろかった。

 

 パト2はとにかくパーフェクト。鑑賞直後にパーフェクトという言葉がまず思い浮かびました。

 

 今回、後藤のあの会議での名台詞でのあと東京が爆破される光景をみて、不覚にも泣きそうなりました。泣くような場面ではありません。

 それは戦争の凄惨さに心動かされたわけではありません。ひりつくようなリアルさに感動したのです。リアルすぎる、と。

 劇場で観たのは初めてですから、そのリアルさがより体験として迫ってきたのかもしれません。ワイバーンのハッキング事件など、虚構としてあった戦争がリアルに、物質的にボカンボカンとなる。ボカンボカンもいいのですが、榊班長の家に後藤としのぶさんが行き、ラジオが流れている。ああいうちょっとしたところが恐ろしいほどにリアルなんですよね。日本に戦争が起こったらこうだろうなって、わかる。

 また、映画として、作品としてのリアルさがあるんですよね。重層的に重なった様々な問題がうねうねうごめく気持ち悪さ、リアルさ。

 

 押井、押井ファンは興味がないとうそぶくかもしれませんが、野明と遊馬の物語も非常に良いと感じました。

 『TOKYO WAR』という小説版のほうにはもう少し野明や遊馬の描写があるんですよね。しかし劇場版にはほとんどない。でてきたときに、「あ、こいつらいたんだ」ってなる。

 ただあの車の中での会話で、何分かけてもなかなか描けないようなところを一瞬で切り取ってるんですよね。

 いつまでも子供だった野明たちが大人になろうとする(ならざるをえない状況に追い込まれる)物語とも読めます。これは作品内で描かれている日本という国と同じことです。現実をつきつけられて、今まで目を逸らしていたものと向き合わざるをえなくなる。そういう部分を少ないシーンで描き切ってしまう。素晴らしすぎます。

 

 今回見て思ったのはやはり押井は現実と虛構がせめぎ合うバランス。そこにこそ本質がある作家だと。ありきたりでつまらない押井語りかもしれませんが、改めてそう思いました。

 好きな作品はたくさんあります。

 『うる星やつら2』、『イノセンス』、『スカイクロラ』。

 その中でも『機動警察パトレイバー2 the Movie』こそ最高の完成度であると実感しました。

 

 ただ同時に思ってしまうのが、現在の押井にこのレベルのものが表現できるのであろうかということ。

 来年のGWには長編のTNGが公開されます。長編は以前の劇パトのような作品になるそうです。

 正直自分は現在のTNGのシリーズでは到底満足できません。劇場版があってこそ価値があると思っています。エピソード5を見る限りものすごく不安になりました。実写下手だし。

 そういうことを考えると、もう彼自体も長くありませんから、良い出来の新作すら見ることができなくなるのではと不安になります。

 

 でもこういう気持ちで追うことができる作家がいるということ自体が幸せですよね。これからいくら駄作を量産しようとも、またそれについて私がどれだけ酷評しようとも、これからも全て観ることになるでしょう。しかも何回も

 だからこれからも作り続けてくださいね押井さん。願わくばアニメで…